第8番「優美」
4分の3拍子 へ長調(♭1つ)
<学習ポイント>ターン音型、32分音符、メッゾスタッカート
題名について
昔は「優美」という題名で統一されていましたが、今は版によって「優しく美しく」や「優雅な人」など様々です。
子供には「優美」だと抽象的だということで色々工夫されているみたいですが、私は日本語の響き的にも「優美」が好みです。

私は可愛らしいバレリーナを想像します。クルッと回るところが右手の軽やかなターンと重なります。
それにしても可愛らしい絵。
はじめまして32分音符
よこに3本も線のある音符。「32分音符」
どうもーはじめまして

ご紹介いたしますね。こちら32分音符さんでございます
この8番は32分音符さんを紹介する曲です。32分音符は4つで8分音符1つと同じ長さとなります。

私は子供の頃、この音符に非常に驚きました。
「こんな音符世の中にあったんだ・・」と。
なんてことはない8分音符を4分割するだけなんですが、やはりはじめましての時は面食らいます。
うちの生徒さん達も「ものすっごくむずかしそうな曲。考える気力も起こりません」というような顔をよくしております。
落ち着けば大丈夫。ゆっくり考えましょう。

これで一小節です。

音多すぎ
このように8分音符でまとめると、ほら!8分音符が6こ分にまとまりましたよ。
ちゃんと拍子記号通り4分の3です。あまり音数が多いとたまに疑われることがありますが絶対にそんなことはありません。
そして、冒頭の<学習ポイント>という所に「ターン音型」というワードがあったのはお気づきでしょうか。
ターンというのはこういう記号のことです。

このブルグミュラーの本では出てきませんが、たまにバッハなどの古典の曲をやっている方は見たことあるかもしれません。
これは1つの音符の上にかかれます。そしてそのついている音符から「クルっとターンするように」他の音符も弾きます。
つまりこういうこと。


ドの音にターンがつくとレドシドって弾くんだね
この8番はターンの記号を使わずにこの音型を弾くための練習であるとも言えます。
運指が4321という具合に、1指をくぐらせるのがポイント。
そのうちターンは出てくると思いますので、その時にこの8番を思い出してもらえたらいいと思います。
そして9小節目から左手にも出てきますね。
左手はもつれがちになりますが、ここはリズム練習などで乗り切って下さい。第2番「アラベスク」の左手の練習法と同じように。
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ブルグミュラー25の練習曲より第2番「アラベスク」解説・解釈・練習法
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メッゾスタッカート
ちょいちょい出てくるのがこういうやつ。

スラーなの?スタッカートなの?なんなの?と、よく思われる「メッゾ・スタッカート」
これは「ほどよく切る」くらいのニュアンスです。
スラーのようにつなげるわけでもなく、スタッカートほど短く切るわけではないというもの。
例えばこれが無いとどうなるかというと、ガンガン和音を叩いてしまいがちになります。曲想にあった柔らかめのタッチで和音を「トゥントゥン」と弾きましょう。

トゥントゥンってなに・・
確かにこの記号があるとちょっと意識するねぇ

このメッゾ・スタッカート、9小節目から右手に膨大に出現します。11小節目はこんな感じ。一見音がいっぱいあって目くらましに合いますが、一番上の音しか変化していません。

そしてここは「ソとシ」の音を1と2の指で弾くので結構音が大きくなっちゃうんですが、飛び出さないようにして下さい。
大事なのは上の「ミ・レ・ミ・レ」です。和音のバランスというやつです。
「3つ一緒に弾くだけで大変なのにこの音は小さくとか1番上が聞こえるようにとか無理なんですけど」とか思われます。知っています。
できなくても意識して続けていくことが大切です。そのうち脳のどっかと指の神経やら耳の神経やらつながっていきますから。
次にこの9小節目の段を全部見てみましょう。

ここはよく見ると、右手の1指の場所はずっと同じなんです。ポジション移動ほぼなし。
そして左手5指もずっと同じでポジション移動なし。
こういうところがブルグミュラー先生の親切設計。
ポイント以外での苦労はあまりしないようにしてくれています。

愛
全体の流れ 調の変化を感じよう
この曲、途中で調が変わったのはお気づきでしょうか。
9小節目から左手32分音符が出現するところから、16小節目までのD.C.まで「やたらシのナチュラル多いな?」と感じた方はいらっしゃいますか?

言われてみれば!
長調から短調、つまり「明るい感じから暗い感じ」という変化ならわかりやすいのですが、これは「長調から長調」に変化しているのでわかりにくいかもしれません。
調が変わることを「転調」といいます。この曲はヘ長調からハ長調に転調しています。
ヘ長調は調号が「♭1つ」と決まっています。

調号ってト音記号やヘ音記号のすぐとなりにある記号のことだね
で、ハ長調は調号がつかない調性なのでシについているフラットを全部取ってしまっているんです。
この辺は楽典を勉強していないとピンとこないかもしれませんが、「気分で♮シにしちゃった☆」というわけではなくちゃんと理由があるということを覚えておいてください。
ちょっとしたポイント
上記でも触れた、ヘ長調とハ長調の変化の時に、それぞれの調の締めくくり方に注目すると演奏がぐっと良くなります。
これは8小節目。


最後のppの圧がすごい
圧すごいでしょ。
これはなぜかというと大事だってことは当然あるんですが、皆強く弾いちゃうから!いきなりファだけになってなにかが開放されたのか「ゴン!」って弾くんですよ。私いつも身構えてるんです。もうほんとやめて下さい。ここは絶対に弱くエレガントに弾いて下さい。
次は16小節目。

ここも先程の終わり方と似ていますね。段々弱く。加えてここはゆっくりもあります。
右手の上の音が「ミレミレミレド」で、本来はメロディーはここで一区切りです。後は余韻ように弾いて最初に戻ります。
こういう区切り目、繋ぎ目、終わり方に神経注ぐと全体の印象がぐっとよくなります。
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