「ハノンは必要なんだろうか?」
↓ハノンです
ピアノ学習者の方ならこの教材の名前は一度は聞いたことがあるでしょう。
「ハノンはやった方がいいのか」
ピアノ学習者の中ではよく疑問にもたれることの1つです。
実はこれ、先生方の中でも意見が分かれますが私はやったほうがいいと思います。ただ、「ハノン」という本限定という意味ではなく、ハノンのような内容のものという意味になります。
ハノンってどんな教材?
ハノンというのは端的にいうと
『指の訓練のための本』です。
美しいメロディーが存在することもなく、1つのパターンを高さを一音づつ変えながら淡々と黙々と指を動かしていく「運動」をします。
「譜例1」
楽譜はこんな感じで、模様として見ると同じことのくり返しなのが伝わるかと思います。
黒い音符がズラズラ並んでいるのでむずかしく見えますが、1つのパターンさえ覚えてしまえばあとはその繰り返し。ゆっくりなら大体だれでも弾けます。
ただ、この単調さが
「音楽的ではない」
「面白くない」
というのが人気ガタ落ちの理由です。
「ハノンが弾けるようになったって、ハノンは上手になるかもしれないけど今練習しているショパンが上手になるわけではないでしょう?」
こんなことも言われちゃいます。
実際私が過去に言われた言葉です
あともう1つは
「まだ手ができていないうちからハノンをやると手に良くない」という先生もいましたが、これはどうなのかな?といまだに私の中では不明のままです。
大体このような理由からピアノの先生の中でも賛成派と反対派に分かれます。
ハノンをやるメリット3つ
1.譜読みが簡単なのに指を速く動かす訓練ができる
特に初心者の場合は難しい曲を弾けるレベルになるまでは速く指を動かすことはあまりありません。しかも両手で。
少し曲が進んでブルグミュラーやソナチネを弾くようになってきたとしても、速いパッセージは右手が主ですし、その前にまず譜読みに時間がかかってしまいます。
指は速く動かしていないと速く動くようになりません。
運動と一緒ピヨ
最初の「譜読み」のハードルがぐっと下がると、すぐに指を動かす方に集中できます。
あとはこの単調な「パターン化」を身に付けることも大事です。
「ドミファソラソファミ」の一つ上は「レファソラシラソファ」
ミソラシドシラソ
ファラシドレドシラ
ソシドレミレドシ
ラドレミファミレド
シレミファソファミレ
全部言えるようにするピヨ!
指だけ機械的に動かすのではなく頭でも何の音を弾いているのかをちゃあんと意識しなければせっかく弾いていても効果50%OFFです。
2.弾き手のレベルに応じて調節が容易
弾き手のレベルに合わせて調節できるのは便利です。
まだ速く指が動かない場合はゆっくりきちんと弾くことをしますし、両手とも同じ動きをするので左手が遅くなってズレたり、苦手な指遣いだとスベったりというのが、初心者でも自覚できます。
逆に上級者になると、もちろん速度を速くしますし続けて3回弾くとか、1番か5番を通して4回弾くとかそういうタフな使い方もできます。筋力を鍛えて持続性をつけるのもまた大切なのです。
ふおおおおおぉぉぉぉ
これが曲で練習してしまうと「速く弾けるからこそカッコいい」とか「ここ好きだから速く弾きたい」など余計な感情が入って速くなったり遅くなったりが起こってきます。
「弾く」のと「聴く」のは別の意識を使うのでこの面白味のないハノンを弾くという作業は「聴く」意識に集中できると考えています。つまらないからこそいい。指の形にも動きにも気を配ることができます。
面白くないことにもいいことあるんだねぇ
ちなみに私が聞いた中で一番すごいなと思ったのは練習の最初に「ハノンを1冊やる」でした。
彼女いわく、45分くらいで終わるそうです。毎日ね。
私はやったことありませんけど。
3.リズム練習という練習の仕方を学ぶことができる。
「リズム練習」とは一体何なのかというと、わざわざリズムを変えて練習をすることです。
ハノンの巻頭の方にこんな表があります。
どうやって使うかというと、先ほどの 「譜例1」とやらの楽譜を最初から最後まで、選択したリズムで全部弾くという訳です。
一番オーソドックスなのは13番と14番のリズムです。
これは普通の曲でも必須な練習法です。
「速くて難しい箇所」が出てきたらすぐこのようにリズムを変えて練習をします。なのでリズムパターンをいくつか頭に叩き込んですぐに応用できるようにします。
「指動かない!キー!」となってやみくもに何度も同じことを繰り返したって、悪いクセがより悪くなるだけです。断言します。
リズムを変えて練習することによりかなり改善します。
というか、
リズム練習はもう絶対やって
リズム練習はかなり効果的な練習法ですので、これを身に付けるためにもハノンは有効です。この練習法はもちろんツェルニーやショパンを弾くときにも応用して取り入れます。当たり前のように取り入れるようにしてください。
私は①〜③の条件を満たしているものなら特にハノンの教本にこだわることはないと思っています。ちなみに私が幼少期に使っていたのはこれです。
ただこれ・・・いいんですけど、結局やってることはハノンと変わらないのですけどなんか使いにくいんです。
自分が使ってた分にはよかったんですが、これを使って生徒に教えるとなると、なんかいっぱい説明しなきゃならないことが多くて時間かかるんですよね。私だけかな。
ハノンだと1ページを使って1番ってわかりやすいんですけど、この本の場合は1番から6番くらいまでが1ページにコンパクトに収まっていて、進んだ気がしないというか・・
例えば1番の1小節分だけ記されていて「後は同じパターンでやってね♪」という具合ですごく省略されているのです。そしてその下にリズムパターンがいくつか表示されていて、それが2番、3番ごとに有益なリズムパターンが 表示されています。
1ページの情報量が非常に多いのです。
そういった意味では省エネですし、内容もとても濃いので素晴らしい教材ではあるのですが、初心者には使いにくいかも・・・というのが正直な感想です。
こちらはハノンの導入に使っています。音符が大きくて見やすいのは小さい生徒さんにとっては大事です。
もう少し大きい生徒さん用。ほどよい音符の大きさでよい感じです。「1分練習せよ」と1小節分の部分練習がついています。口で言うよりはっきり記載されている方が生徒さんは「やらねば」と思うらしいです。