ピアニスト森本先生の動画ってむずかしくないですか?レベルがちょっと高いような気がするんですけど・・・
最近個人的に注目しているYouTuberのピアニスト森本麻衣先生。
ちらほら聞こえる声が
「言っていることが難しい・・」「専門的すぎる」「ちょっと厳しいような・・」という声をときどき目にします。もちろん称賛の声は多数です。
私としては
という感じで拝見しています。
私なんかでは到底こんな動画は作れませんから。
まさに正統派。
しかも若くお美しい。
確かに初心者にはむずかしいものも実際あります。
でも、レベル関係なしに基本的なことを言っている動画もありますので、できそうなものだけ参考にしていけば良いと思います。
例えばこの回「メトロノームの正しい使い方」
これは、ピアノ学習者もしくは楽器やっている人全般に役に立つ内容だと思います。
内容としてはシンプルに「メトロノームは少しづつ上げていきましょう」ということなんですが、意外とこれをやる人が少ない。というか、嫌がる。
私も当然メトロノームは少しづつ上げる練習はデフォルトですが、3メモリどころか1メモリづつ上げていきます。
私はこんな感じでやっています。
今日は50から60まで上げることができた。60が限界。次の日は60から練習するのではなく55くらいからまたやり始める。そうすると次の日かその次の日くらいに限界の60を超える日がやってくる。
65まで上げられたら、また次の日は60から再びやり始めて少しづつ限界を超えられるようにしていく。
5歩進んで3歩戻って、また5歩進む・・みたいな感じですね。
地道。
「いやここまではちょっと・・・やっぱりきびしい・・こんな練習するのは専門的にやってる人くらいでは?」
と思われるでしょうか?
全然そんなことないです。
一歩進めたことに喜びを感じられたらとても素晴らしいことなんです。指の速度をあげるのって簡単ではないのです。しかも指だけ空回りせず、ちゃんと耳も頭もその速度についていくということは。
今の大人の生徒さん(50代後半)で、ハノンのオクターブのスケールを日課にしている方がいます。これ長いんですよ。全部で3ページ。
1メモリ上げるだけで腕の疲労度は全然ちがってきます。

この方の限界数値を超える日が来た時までの期間は半年でした。
1メモリ上げるのに半年です。
本当に喜んでらっしゃいました。私も嬉しくて思わず拍手しました。
こんなつまらなさそうなスケールを半年かけて1メモリ上がったからってなに?と思う方もいると思います。
ただ、この生徒さんが得たものは単にこの課題がほんの少し速く弾けるようになっただけという単純なものではなく、オクターブを掴む手の柔軟さ、耐久力、必要な筋力・・・そして自信です。
コツコツ正しい方法で練習すればちゃんと上達するんだ、という自信。
手が小さくてあんなにオクターブ苦労していたのに、もう曲にオクターブが出て来てもへっちゃら!という自信。
メトロノームはちゃんと数値化してくれるので、自分がどのくらい上達したのか可視化できるのがとてもいいところです。
メトロノームは本当に大事なのですが、悲しいことにとても嫌がられます。
なのでこのように影響力のある森本先生が言ってくれことがとても嬉しい。
あとこれもこれも!
「ピアノは触ってから弾く」
ほんとまさにその通り。
これは子供の頃からうちでは取り入れています。
これが出来ないと、特に和音がバラバラになります。
それになんといっても音の出方が全然ちがう!
「鍵盤を叩く」のではなく
「弦を鳴らす」んです。
ここの差はとても大きいのです。
鍵盤を触ってから弾かないと、弦じゃなくて鍵盤自体をパシパシ叩く音も聞こえてきて雑音になります。
こんな感じですっかり感心した私はこの動画を大学時代の友人達に紹介して、リモート飲み会で話題にしました。
「すごいね。ここまで丁寧に具体的にやってくれるってなかなかないよね」
「あーでもTちゃんの先生厳しかったから似たようなこと言われてたんじゃない?」
「まぁそうなんだけど、あんまり説明はなくて『指の動きと音で感じろ』って感じだったよー。だからもう理解するの必死だった」
そう。現実はこんな感じで、高度なことになると説明も大変になってくるし、先生の方も「自分の耳と頭で考えて感じて理解しなさいよね」みたいな感じになってきて、こんなに丁寧に教えてもらえないことが多いのです。
森本先生の動画はテーマによっては「それ習得するの2年くらいかかるよね?」というものも実際ありますし、永久に課題になるものもあります。
それに「じゃあ実際できているのか?」という判断は自分では難しいものもあります。
でもすぐに練習に取り入れられるものもあります。先ほどのメトロノームのように。
なので、
- できるものだけ取り入れる
- 実践してみて判断の難しいものはピアノの先生に確認してもらう
- 先生の模範演奏を聴いて楽しむ
こんな感じで取り入れていけばいいのではないかと思います。