「やっぱりスタインウェイは違うよね〜」
「あそこにはスタインウェイがあるんだよ!えー!すごーい」
と、スタインウェイという名前だけで特別感を持たせる地位に君臨している代表的なピアノと言えるでしょう。
確かにスタインウェイは高級です。
一番高いフルコンサイズでネットで調べると約2,500万。
ネットショッピングできることにまず驚きましたが。
アップライトでも500万以上です。
音色も豊かだし、大きなホールでオーケストラと共演してもその煌びやかな音色はオーケストラに負けることはありません。
でも、それはきちんと管理されてる状態での話です。
大きなホールには大抵フルコン(一番大きなサイズ)のスタインウェイ がありますが、温度管理や、調律などのメンテナンスがきちんと行われています。
調律と言っても、スタインウェイ 専属のちゃんとした調律師さんがいて、初めて「きちんとした調律がされている」と言えるでしょう。
私はくたびれたスタインウェイ に出会ったことは何度もあります。
もちろんいい状態のものもですが。
その差は天と地ほどのものであり、とても同じスタインウェイ として語れるものではありません。何十年も前のメンテナンスされていないピアノは弦も伸び切り、フェルトも深い溝だらけで金属音しか出なく、やたら大きなで鳴り響くのですが
「音が良く響く」
「すぐ大きな音が出るから弾きやすい」
と言った変わった愛され方をしていることが多いのですが、これではスタインウェイ も泣きます。
高いものが単純にいいもの、と考えている場合スタインウェイ は確かに2,500万と高額ですが、ヤマハもカワイもそれぞれメーカー最高峰のピアノは1,900万です。
スタインウェイ だけが単純に良いピアノだったら、ショパンコンクールのファイナルでヤマハやカワイのピアノが選ばれることはないわけです。
えと、これはどういうことかというと、5年に1度ワルシャワで開かれるショパンコンクールという国際ピアノコンクールで、ファイナリスト達が最後のオケとの共演でピアノを自分で選べるというものです。
命をかけて挑んできたショパンコンクールのファイナル(最終選考)に選ぶわけですから、当然いい加減に選ぶわけではありません。
自分の出したい音に応えてくれるピアノか、自分の好みの音色であるか、自分にとって心地よいピアノであるか、そういう五感を全て研ぎ澄ませて吟味して選びます。
ピアノメーカーにとって、ショパンコンクールで選ばれるということは大変な名誉であり、そこに技術者達の戦いやドラマもあります。
と、これはそれぞれのピアノメーカーの最高峰のピアノの話ですが、単純に家庭用のピアノでも同じことが言えると私は思っています。
ピアノは木材を使用するので、時期によっていい木材が手に入ることもあればそうじゃないこともあります。
結局何が言いたいかというと、メーカーの名前だけでピアノの良し悪しを弾いてもいないのに決めるのはおかしいよ、って話です。