ピアノコンクールにお酒を持ち込んだ
好奇心を抑えることができなかったんです。
アルコール依存症とかではないですが、大学生になってから「お酒を飲める」という大人の開放された世界が面白くてよく飲んでいました。

そしてお酒を飲むと、ふわーっとしてボーっとして面白いなぁと思いました。
そこで
「この状態で、あの緊張で死にそうな本番を経験したらどうなるだろう?」
と思うようになったんですね。
本番を踏んだ経験ある方ならわかると思いますが、割と「堪えがたい精神的苦痛」を伴うイベントです。
本番1ヶ月前から想像するだけで手汗をかいたり、1週間くらい前から本番と違う曲で弾かなければならない夢を見たり、胃が痛くなったり、逃げ出したくなったりとか、
自分で参加を決めて、究極に追い込まれる状況
をわざわざ自らつくるんです。
そして、そういう状態がいつも「つらいな〜大変だな〜」と思っていたので、あのお酒を飲んでフワフワした状態で舞台に上がったらどうなるんだろう?と思ったわけです。
普段より緊張しないかもしれない!って。
色々考えました。
これが試験だと待機中の周りの生徒にもバレるし、ちょっとダメだな・・・っと
コンクールなら控え室も別にあるし、みんな自分のことで精一杯だし、知らない人多いし、こっそりやればバレにくいよね?
と思いました。
別に禁止事項になっているわけではありません(多分)。
「飲酒演奏禁止」ていうのは今だに見たことありませんね。
ワインの小瓶で挑戦
さて、本番当日
缶チューハイというわけにはいきませんから、小さなワインの小瓶にしました。
見た目スマートですしね。
残ったら持って帰れます。
こんなことしておいて説得力はないかもしれませんが、本番は大切なので
「量はほどほどに」
と決めていました。
いや、流石に私だって何ヶ月も練習してきたものを酔っ払って台無しにしたいわけじゃないですから、それなりに真剣なんです。
本番の20分ほど前にドレスに着替えてからこっそり瓶を出して3口ほど飲みました。
飲んでから着替えるとファスナーしめ忘れたとかあっては大変ですから、そこも事前に計画していました。
そしていざ本番。
舞台に出る前は少しフワフワしていい感じ。
いつもの緊張によるバクバクも少ない。
椅子に座ってからもあまり緊張感なく弾くことができました。
ただね、なんというか可もなく不可もなくという感じです。
いい意味での「緊張感」というものが無かったです。本番ならではの緊張感からくる集中力とかそういったものが何もなかった。
やっぱり頭がフワフワしているとフワフワした演奏にしかならないです。
特にこの時の経験で失敗したとか、痛い目にあったとかではないけど
「もうやめよ」
と思いました。