うちの子自分から全然練習しないんですけど、どうしたらいいんでしょう?集中力も続かないし・・・
このご質問、本当に多いです。
1番多いかもしれません。
子供が自分から練習しないのは普通です。
親に何も言われずに小さい子が時間を管理してピアノの練習をするなんてまず無理なことだと思っておいて下さい。
1つの目安としては、例えば夏休みや冬休みになると「1日の計画表」を立てたりしますよね。朝何時に起きるとか、午前中1時間勉強するとか、午後からも勉強するとか、ゲームは30分だけとか。
ちょっと無理目なやつ。
この計画表が夏休みの間中、あなたのお子さんは守れますか?
お母さんに「やりなさい」と言われなくてもできますか?
もし親に何も言われなくても守れる子であれば、「自分から練習できる子」です。
でも大抵は無理です。大人だってむずかしいはずです。
もちろん中には小さい頃から1日8時間でも10時間でも自ら弾くお子さんはいます。
今はもうお子さんじゃないですけど、
牛田智大さんとか辻井伸行さんとか。
はっきり言ってこういう稀なお子様のケースと比べてもしょうがないので、一旦忘れましょう。
ピアノが好きなら自分から練習すると思うのですが・・・
好きなことなら自分から練習するはずだと思うかもしれませんが、根本的に違うことがあります。
子供がお絵描きだと何時間でも集中したり、好きな絵本だとずっと読んでいたり、外に遊びに行っていつまでも帰ってこなかったり、レゴだと一日中やっていたりということと、習い事の「練習」は一緒にはなりません。
なぜかというと、お絵かきも読書も外遊びもレゴも
自分の好きなように
自分の思う通りのやり方で
自分のできる範囲の中でやる
から、遊びとして楽しいのです。
いくらお絵描きが好きだからと言って、
「外に転がっている石の絵を本物のようによく見て描きなさい」
と、言われたらピンクや赤のクレヨンで楽しくお絵描きしたい子はつまらないだろうし、
絵本が好きだからと言って、これはためになるからと「偉人の伝記」とか手渡されたら嫌になるでしょう。
もっとむずかしい本が読めるように漢字の練習しなさい、となったら読書が嫌いになるかもしれません。
レゴだって毎回課題が与えられて
「次これできたら次はこれを早くできるようになるために同じものを10個作りなさい」なんて言われたらつまらなくなると思います。
ピアノは習っている以上、上達することを求められますし、先生の方も上達を望見ますから新しいこと・むずかしいことを次々と教えていきます。
当然そこには「楽しくない練習」も含まれています。
楽しくない練習とは
- 反復練習
- 譜読み
- メトロノーム練習
- リズム練習
などです。
お絵描きで例えるなら、曲がった線を描こうが、実物とかけ離れていようが、自分が満足できて楽しめれば遊びとしてはいいわけです。
そこで上手に「家」を描くために真っ直ぐな線を書く練習や、きれいな円を描く練習をさせられたらつまらないのと同じようなことをピアノの練習ではやるわけです。
ですのでこれを子供に毎日させることは決して簡単なことではないのです。
日頃からの習慣付けが必要
子供達はなぜ毎日朝晩に歯みがきをすると思いますか?
それはお母様やお父様が小さい頃から歯みがきの習慣を身につけさせてあげたからです。自分でできないくらいの年齢の時はお母様が磨いてあげて、それから徐々に歯みがきの仕方を教えてあげて、そして毎日「歯みがきした?」と声掛けをするからそれが定着して当たり前のように自分から歯みがきをするようになるのです。
ピアノの練習も実は同じことで、子供が習慣として身につけるまではお母様たちのサポートが必要なのです。
私の母の例で言いますと、私に練習させるために1週間のスケジュールはこのようにさせたと言っていました。
- 1日目 譜読み
- 2日目 片手練習
- 3日目と4日目 両手練習
- 5日目と6日目 暗譜(当時の先生は暗譜が合格条件)
これで毎日30分1週間ギリギリだったと言います。私にはこの記憶がありません。
ですが、いつの間にか「練習する」ということが定着していて練習しなかった日は罪悪感があったりしたものです。
私の母に限らず、よく練習する子の場合はお母様ご自身も子供の練習に関わっています。
それは厳しく口出しをする、ということではなく
「遊びに行く前に練習しようか」と言い続けたり
「今のは素敵だったよ。先生のいう通りにできたんじゃない?」などと、ほめるときだけ口を出すなど、その子に応じた対応をしていってあげると子供は変わってきます。
うちの生徒の例を出すと
ママと一緒に練習したい。
口出されるのは嫌だけど、近くで聞いててほしい(これ多いです)。
ママに歌ってほしい。
こんな声をよく聞きます。
あとは家でピアノ曲を聴かせてあげたり、100均のキッチンタイマーなどを渡して「10分練習」から始めさせてみたりなど、できることはたくさんあります。
練習しない子供の変化を望むより、子供にとって一番影響力のあるお母様・お父様がひと工夫してみるというのはいかがでしょうか?